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心理学的に見た「チベットの死者の書」


「チベット死者の書」という、
有名な書物があります。

チベット仏教のカギュ派の、
埋蔵教(偽典)として知られる書物ですが、
この本は、ゲシュタルト療法はじめ、
体験的心理療法や、変性意識状態のことを考える上で、
とても参考(モデル)になる本です。

今回、ここでは、その「チベット死者の書」を、
ティモシー・リアリーらが、心理学的にリライトした、
『サイケデリック体験 The Psychedelic Experience』※
(『チベット死者の書 サイケデリック・バージョン』菅靖彦訳 八幡書店)
をもとに、色々と見てみましょう。

 

◆バルドゥ(中有)と心の構造

まず、死者の書が、
何について書かれた経典(本)であるかというと、
「人が死んでから、再生する(生まれ変わる)までの、
49日間(仏教でいうバルドゥ/中有)のことが
書かれた経典(本)である」
ということです。

人間が、生まれ変わることが、
前提となっているというわけです。
ただ、この前提は、この経典(本)を読むにあたって、
無視しても構わない前提です。

なぜなら、語られている内容は、確かに死に際して、
心の底から、溢れてくる出来事ということになっていますが、
それは、心の構造そのものに、
由来するものと考えることができるからです。

だから、生きている私たちにも、
同様に存在している心の世界だと、
とりあえずはいえるからです。

ティモシー・リアリーらが、
この経典(本)をリライトしたのも、
薬物による、サイケデリック体験でも、
同様の出来事(世界)が溢れてくるので、
この本を、サイケデリック・トリップの、
導きの書にしようという、意図からでした。

そのため、この経典(本)は、
私たちの深層の心の世界を、語っているものとしても、
読むことができるのです。

さて、
この経典の形式ですが、
たった今、死んだ死者に向かって、
語りかける言葉(声かけ)が、
形式となっています。

その死者が、見ているだろうものを告げ、
アドバイスを与えるという、形式です。
 
「聞くがよい、○○よ。
今、お前は、○○を見ているであろう」
という感じです。

ところで、
死者は、死んだ後に
3つのバルドゥ(中有)を体験し、
生まれ変わるとされています。

しかし、
経典(本)の中心のメッセージは、
「さなざまな無数の心惹く像が、現れてくるが、
それらにとらわれることなく、
本当の眩い光明を、自己の本性と知り、それと同一化せよ」
というものです。

そうすれば、解脱が達成されて、
生まれ変わり(輪廻)から、
脱するというができるであろう、
というものです。

そのため、
3つのバルドゥ(中有)の経過が、
刻々語られますが、
それは、各バルドゥで訪れる、
解脱のチャンスの中で、
解脱できなかった者たちに、
対してであるということです。

 


◆3つのバルドゥ
 
さて、死者は、
3つのバルドゥを順に体験していきます。
 
①チカエ・バルドゥ
→超越的な自己の世界
→法身

②チョエニ・バルドゥ
→元型的な世界
→報身

③シパ・バルドゥ
→自我のゲーム
→応身

下の矢印の言葉は、
当スペースの考えで補ったもので、
一般にオーソライズされているものでもないので、
その点は、ご了承下さい。

さて、この3つは、心理学的には、
心の表層から、心の深層までの、
3つの地層(宇宙)を表したものと、
見ることができます。
死後の時間的遷移を、
逆に見ていくと、
この構造はわかりやすくなります。

 


③シパ・バルドゥ
→自我のゲーム
→応身

 の世界は、再生に近い、最後の段階です。
その世界は、もっとも身近な、
私たちの自我の世界です。
通常の心理学が扱うのも、この世界です。
リアリーらの死者の書では、
とらわれの自我のゲームを、反復してしまう世界として、
描かれています。
サイケデリックな体験の中でも、
低空飛行している段階で、
日常の自我のゲームが、再演されている状態です。

②チョエニ・バルドゥ
→元型的な世界
→報身

の世界は、
心の深層の世界、私たちの知らない深層世界が、
ダイナミックに、滾々と湧いてくる世界です。
死者の書では、
膨大な数の仏たちが現れてきます。
心の先験的とも、古生代ともいうべき、
元型的な世界です。
系統樹をさかのぼるような、世界かもしれません。
(サイケデリック体験などでは、
系統樹をさかのぼり、自分が、
爬虫類に戻る体験を持つ人もいます)

①チカエ・バルドゥ
→根源的な世界
→法身

は、根源的な、超越的な自己の世界で、
上の2つの較べて、
空なる世界に一番近い世界です。
ある面では、心理学の範疇には、
入らない部分ともいえます。
ただ、そのような世界(状態)を、
仮定することはできます。

リアリーらは、
この状態を、ゲームの囚われから解放された、
自由の、自然の、自発性の、
創造の沸騰する世界と見ます。
それでも、充分有効なとらえ方と言えます。

さて、死者の書の中では、
それぞれのバルドゥで、
「光明」が2つずつ現れてきます。
 恐れを抱かせるような眩い光明と、
より親しみを感じさせる、くすんだ方の光明の
2つです。

そして、恐れを抱かせるような、より眩い光明が、
根源の光明であり、それを自己の本性と見なせと、
アドバイスします。
根源の光明に共振し、同調し、
同化せよ、
ということなのでしょう。

よりくすんだ方の光明に惹かれるであろうが、
それに向かうなと告げます。
ただ、多くの人は、この後者の光明に向かうようです。
そして、転生への道を進んでしまうのです。

 

◆経過

さて、死者は、このような3つのバルドゥを、
経過していくのですが、
ティモシー・リアリーは、
サイケデリック体験における、
この3つの世界の、推移の仕方について、
おもしろい喩えを使っています。

それは、高いところから、
地面にボールを落とした時の、
「ボールの弾む高さ」
に似ているということです。

落ちてきたボールは、
最初は、高く弾み上がります。
2度目は、それより少ししか弾みません。
3度目は、さらに少ししか弾みません。

つまり、
サイケデリック・トリップの、
初発の段階が、重力(自我)から解放されて、
一番遠くの、チカエ・バルドゥまで行けて、
次に、チョエニ・バルドゥ
次に、シパ・バルドゥと、
段々と、日常的な心理的に次元に、
落ちてきてしまうという、喩えです。

この喩えは、私たちの心の構造や、
心の習慣、可能性を考えるのにも、
大変示唆の多いものです。

2つの光明の喩えといい、
私たちの中には、
大いなる自由に比して、
慣習と怠惰に惹かれるという、
何かがあるのでしょう。

 

◆変性意識(ASC)の諸次元として

さて、「チベット死者の書」の世界を、
心の諸次元の構造として、見てきましたが、
この世界は、
死の体験やサイケデリック体験を経由しなくとも、
色々な変性意識状態の中で、
さまざまに、あいまみえる世界です。
このモデルを、ひとつ押さえておくことで、
心理学的な見方のさまざまなヒントになっていくと、
思われるのです。

 


※関連記事
「サイケデリック体験と、チベットの死者の書」
 この二種類の如来についての仮説は、
「リルケの怖るべき天使 〈美〉と変性意識状態」
映画『マトリックス』のメタファー(暗喩) 残像としての世界


※気づきや統合、変性意識状態(ASC)への、
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および、
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※ジョン・レノン(ビートルズ)が、
LSD体験や、この本にインスパイアされて、
Tomorrow Never Knows
という曲を創ったのは有名なエピソードです。

歌詞は、
Turn off your mind relax and float down stream
It is not dying, it is not dying
Lay down all thought surrender to the void
It is shining, it is shining
That you may see the meaning of within
It is being, it is being

 

 

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