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「弟子に準備ができた時、
師が現れる」
という言葉があります。
この不思議な共時性は、
実際に、働いている実感があります。
ただ、対人関係を、
心理学的な投影関係の中で考えると、
このことは、
案外、普通の事柄とも言えます。
人は、
自己の心理的な成長とともに、
自分の中に芽生えて来た、
創造的な因子を
(鏡に映すように)
外部の他者に投影するようになり、
他人の優れた美質を、
見出しやすくなるとも、
言えるからです。
つまり、
内実の成長とともに、
他者の中に、
「師」(未来の可能性の自分)、
を見出しやすくなる、
というわけです。
………………………
さて、私たちの中には、
「複数の自我」がありますので、
それぞれの自我に、
対照するような形で、
外部の他者に、
萌芽しつつある、
その自我要素を見出していきます。
私たち自身が、
自己の中に、未だ端的に感じ取れない、
心(自我)の要素を、
他者の上に、見出していくのです。
そして、
それらの他者との交流を通して、
その要素(自我)が、
だんだんとくっきりと育っていき、
自己の重要な属性に、
なっていくのです。
そして、
成長の果てに、
かつては、自分が目標とした人の、
或る美質が、
自分の中にも育って来たことを見出して、
深い感慨を得ることになります。
ヘルマン・ヘッセの小説、
『デミアン』は、
タイトルどおり、
魔霊(demon)のような、
不思議な友人(師)をめぐる、
ある青春の物語です。
批評家のブランショも指摘するように、
この物語自体が、
話り手の白昼夢であるような、
不思議な肌触りを持った小説です。
描かれる出来事も、
通常の日常的現実を超えるような、
どこか夢幻的な光輝を帯びています。
さて、その物語は、
戦地で砲弾を浴びた、
(死に近くいる)
主人公が、自分の心の中に、
かつての卓越した友人(師)のような、
自己の存在の姿を、
見出すところで終わっています。
これは、
上記で見たような事柄を考えると、
納得的な結末だといえるでしょう。
そして、
そのようなことは、
実際にあることなのです。
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