ゲシュタルト療法 gestalt therapyは、
元精神分析家の、
フリッツ・パールズ Fritz Perlsらによって
創始された心理療法であり、
主に、1960年代後半、
パールズが晩年をすごした、
米国西海岸のエサレン研究所を
中心に、一般的には広まりました。
1960年代の当時、グループ・セラピーである、
エンカウンター・グループ encounter groupなどとともに、
「自己成長のための心理療法」として、
ゲシュタルト療法は、注目を集めたのでした。
当時は、
治療のために心理療法を受けるのではなく、
人々が、
自分の心の解放、能力の開発、自己成長、
また、潜在能力の可能性を探るために、
試してみたのです。
(また、その周辺では、
その技法を見よう見まねで模倣した、
怪しげなセミナーも広まったのです。※1)
「私は、以前より、
開かれ自発的になりました。
自分自身をいっそう自由に表明します。
私は、より同情的、共感的で、
忍耐強くなったようです。
自信が強くなりました。
私独自の方向で、宗教的になったと言えます。
私は、家族・友人・同僚と、
より誠実な関係になり、
好き嫌いや真実の気持ちを、
よりあからさまに表明します。
自分の無知を認めやすくなりました。
私は以前よりずっと快活です。
また、他人を援助したいと強く思います」
(ロジャーズ『エンカウンター・グループ』畠瀬稔他訳、創元社)
これは、
エンカウンター・グループという、
グループ・セラピー体験者の言葉ですが、
このような心のしなやかさや感度の獲得は、
体験的心理療法のセッションを深めて、
それが十分な、心理的統合を達成した場合の、
おおよその共通した要素といえます。
ゲシュタルト療法においても、
同様の心理的統合が、実感されていきます。
◆気づき awareness の力 マインドフルネスの効力
ところで、
ゲシュタルト療法では、
気づき awarenessの能力というものを、
とても重視します。
そこに、心理的な変化を生み出す、
重要な能力(支点)を見るのです。
日本でも最近、
「マインドフルネス」という
言葉のひろまりとともに、
この気づき awarenessの能力の重要性が、
知られるようになってきました。
パールズは言います。
「『気づく』ことは、クライエントに
自分は感じることができるのだ、
動くことができるのだ、
考えることができるのだということを
自覚させることになる。
『気づく』ということは、
知的で意識的なことではない。
言葉や記憶による『~であった』
という状態から、
まさに今しつつある経験へのシフトである。
『気づく』ことは意識に何かを投じてくれる」
「『気づき』は常に、
現在に起こるものであり、
行動への可能性をひらくものである。
決まりきったことや習慣は
学習された機能であり、
それを変えるには
常に新しい気づきが与えられることが
必要である。
何かを変えるには別の方法や考え、
ふるまいの可能性がなければ
変えようということすら考えられない。
『気づき』がなければ
新しい選択の可能性すら思い付かない」
(パールズ『ゲシュタルト療法』倉戸ヨシヤ訳、ナカニシヤ出版)
このように、
「今ここの気づき」のなかに、
変化と飛躍の因子が、
潜んでいるのです。
もし、心の何かが、
変化するとしたら、
それは、
「今ここの気づき」
を通してしか、
起こらないのです。
セッションの時間の中では、
このような、
「今ここでの、気づき」
で得たことを利用して、
さまざまな取り組みを、
行なっていきます。
クライアントの方は、
セッション空間の中で、
その瞬間の気づきで得たことをもとに、
実際に、実験的に、
新しい自己表現を試してみます。
そのことで、
「自分が、新しい行動をとれること」
「自分が、新しい感情を味わい、表現できること」
を、まざまざと
実感していくことになるのです。
子どもの頃のように、
自分が、制限されていない、
自由で可能性に満ちた存在であることを、
実感していくことになるのです。
そして、
そのようなセッションを重ねることで、
クライアントの方の中に、
確実な変化や力が、
実現・蓄積されていくことになるです。
※1.その悪しき遺産が、「自己啓発セミナー」として、日本でも知られる商業セミナーです。
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◆進化形ゲシュタルトへ 心理療法を超えて
さて、
ゲシュタルト療法が広まった当時は、
カウンター・カルチャー(対抗文化)的な思潮の、
盛んな時期でもありました。
のちにアップルをつくる
若きスティーブ・ジョブズが、
サンフランシスコ禅センターなどに、
熱心に通ったような時代です。
そのような時代の雰囲気の中で、
ゲシュタルト療法のもっている、
風変わりで直截的なスタイルが、
そのめざましい治癒効果とあいまって、
注目を浴びたのでした。
しかし、時代の流行も去って、
ゲシュタルト療法も、
さまざまな効果検証を経ながら、
時代とともに、
そのスタイルやアプローチ方法を、
洗練させてきました。
時代によっても、個人の療法家によっても、
そのスタイルは多様です。
ただ、ゲシュタルト療法の
持っているエッセンスは、
今も変わらずに、
その可能性と有効性を、
秘めているといえます。
パールズ自身は、
かつて自分のことを、
「ゲシュタルト療法の創始者ではなく、
再発見者にすぎない」と言いました。
そのココロは、
ゲシュタルト療法の「原理」自体は、
普遍的なものであり、
人類の歴史の中で、
いたるところに存在していた、
という意味です。
「現代のゲシュタルト療法の創始者である
フリッツ・パールズは、
先住文化のシャーマンがいれば
間違いなく仲間として
歓迎されたであろう。
パールズは、
自己への気づきを促すために、
夢人物(ドリーム・フィギュア)や
身体経験との同一化
ならびに脱同一化法を用いた。
そして、
モレノの「サイコドラマ」から、
夢見手が自分や他者を
登場人物にすることによって
夢の内容を実演化する方法を
借用している」
(アーノルド・ミンデル『ドリームボディ』藤見幸雄監訳、誠信書房)
当スペースでは、
そのようなゲシュタルト療法を使って、
人間関係の改善、
意欲、自信の回復、
心の悩みの癒し、
能力や創造力の開発など、
さまざまな心理的サポートを、
提供しています。
また、特に、ゲシュタルト療法は、
それが元来、含み持っている、
シャーマニズム的な構造(特性)によって、
(心理療法の領域にとどまるものではない)
能力や創造力の開発などでも、
未知の目覚ましい効果を、
生み出すものでもあるのです。
そういう意味で、当スペースでは、
このゲシュタルト療法を、
方法論の機軸にすえているのです。
【ブックガイド】
ゲシュタルト療法については、
基礎から実践までをまとめた総合的解説、
をご覧下さい。
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動画『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』
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気づきと変性意識の技法 基礎編
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